

・薬剤師って病院や薬局以外に活躍できる場所はあるのかな?
・医療業界とは違う業界で働く人のお話が聞いてみたい!
このような疑問や要望に薬学部(6年制)卒業後、新卒で食品メーカーに就職した私がお答えします。
☑薬学部生・薬学部を検討中の方
☑病院・薬局以外の薬剤師の活躍できる場所が知りたい!
☑医食同源・未病の考え方に興味がある
☑食品メーカーに興味がある
この記事では以下の内容を実体験を交えてお話しします。

☑薬剤師
☑食品メーカー勤務5年目
☑薬局・病院実習で生活習慣病の多さや多剤併用の現状を知る
☑疾病の予防に貢献できる仕事がしたいと考え、食品メーカーに就職することを決意
就活の際、食品メーカー志望の友人がおらず情報交換ができなかった経験から自身の経験が参考になればと思い本記事を作成しました。
本記事では以下の項目について私の実体験を交えてお話しします。
●薬剤師は食品メーカーで活躍できるの?
●食品メーカーでの薬剤師の仕事
●食品メーカーの給料
●薬剤師が食品メーカーに就職するメリット・デメリット

薬学部卒で製薬以外のメーカーに就職する人は珍しいので
ぜひ私の経験を参考にしてくださいね!
薬剤師は食品メーカーで活躍できるの?
ここが最も気になるところではないでしょうか?
結論から言うと、薬剤師は食品メーカーで活躍できます!
私が実際に働いて感じるポイント2つです。
1.食品衛生管理者として公衆衛生の知識を活かせる
2.栄養素や体の仕組みを理解した上で製品が開発できる
順番に詳しくご説明します。
食品衛生管理者として公衆衛生の知識を活かせる
食品を製造する施設には必ず食品衛生管理者を置かなければなりません。
薬剤師は都道府県知事に届出るだけで食品衛生管理者の資格を得ることができます。
食品は人の口に入るものなので、徹底した衛生管理が求められており、公衆衛生学を学んだ薬剤師の知識が強く求められます。
製造現場の方々に身だしなみ等の衛生指導をしたり、機器や設備の衛生状態のチェックといった病院や薬局では体験することのない業務を行ないます。
最初は慣れない仕事で大変ですが、自分が働きかけることで衛生状態が改善していくのでとてもやりがいがあります!

大学で学んだ公衆衛生の知識を活かして働けるんだね!
食品衛生管理者について詳しく知りたい方は、厚労省HPを参考にしてくださいね。
栄養素や体の仕組みを理解した上で製品が開発できる
近年、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)など健康に配慮した製品がたくさん開発、販売されています。
そういったヘルスケア分野の製品を開発するためには栄養素や消化、吸収、分解、排泄といった人体の仕組みをよく理解している必要があります。
これらの分野はまさに薬学部で学んできた知識ですよね?
トクホなど健康に配慮した食品の開発をすることで人々の健康に寄与することもできるのです!

食品メーカーの中にはサプリメントの開発をしているところもあるよ。
そういったメーカーでは製剤学の知識も役に立つね!

なるほど!
食品メーカーでは衛生学と製剤学の知識が役立つんだね。
病院・薬局とは全然違う!
食品メーカーでの薬剤師の仕事
食品メーカーに就職した場合、勤務地は主に本社か工場になります。
薬剤師は工場勤務になることが多いです。
実際に、(私を含めて)同期3名が薬剤師でいずれも工場に配属されました。
配属部署は、品質管理2名、開発1名でした。
それぞれの部署の業務について簡単にご説明します。
品質管理の仕事
品質管理の仕事は、大きく2つに分けられます。
●管理業務:ユーザーへの情報提供(書類作成)、クレーム対応、監査対応、現場の衛生状態の見回り
●検査業務:製品の品質検査、検査結果書類の作成、製造現場の衛生状態調査のための検査

わたしは管理業務、同期は検査業務の配属です。
他にも数人薬剤師が働いていますが、ほとんどが管理業務を担当しています。
管理業務は対外的な仕事、検査は社内向けの仕事ですね。
開発の仕事
私の勤務する会社では、開発部所属の薬剤師はヘルスケア製品を開発しています。
開発部の仕事はその名の通り、会社で扱う製品を開発する部署です。花形部署ですね。
開発のパターンは2つあります。
●ユーザーと打ち合わせを行い、要望を取り入れた製品の開発
●会社の戦略に沿ったテーマを与えられて開発する

実は私も開発志望でしたが、配属はなりませんでした…
薬剤師で開発に所属している方も数名いますが、圧倒的に品質管理所属の方が多いです。
会社としては、衛生の知識が必要とされる品質管理業務で薬剤師に活躍してほしい気持ちがあるようです。
☑薬剤師は品質管理に配属される可能性が高い
☑品質管理の中でも管理系の仕事をしている人が多い
食品メーカー薬剤師の年収
やりたいことができることも大切ですが、年収面は気になるところですよね?
食品メーカーと薬剤師(薬局・病院等)の年収を比較してみました。
食品メーカー | 薬剤師(薬局・病院等) | |
月収 | 33万 | 32万 |
ボーナス(/年) | 140万 | 67万 |
年収 | 536万 | 451万 |
食品メーカーに関しては私の現状、薬剤師のデータに関しては25~29歳のデータを抜粋しています。
年収は勤務地や家族構成でかなり変わるので参考程度にしていただければと思います。
月収はほぼ同じですが、ボーナスが2倍以上違うため年収に差が出ています。
メーカーは利益追求型なので、医療職よりもボーナスが高くなる傾向にあります。

私は今の待遇や年収に満足しています。
薬剤師でも、もっと年収の高い業種もあるけど、年間休日数や勤務時間など働き方を考慮すると食品メーカーはとてもバランスが取れていて働きやすい環境だと思います。
メーカーに就職するメリット・デメリット

薬剤師が食品メーカーでも活躍できて、給与についても分かったよ!
でも、せっかく頑張って薬剤師資格を取ったのにそれを活かさないのはもったいない気もする…
食品に限らず、メーカーに就職することのデメリットも知りたいな。

そこは私もすごく悩んだ点だよ。
4年間メーカーで働いた経験をもとにメリット・デメリットをまとめるね。
周りの子と違う選択をしたり、目指していた目標を変えるのは勇気が必要ですよね。
薬剤師として働くこと、薬剤師とは違う仕事をすることどちらも良い点・イマイチな点があります。
食品メーカーで働く目線でメリット・デメリットをまとめましたので参考にしてくださいね。
〇メリット
- 土日祝日休み
- 有給が取得しやすい
- 座って仕事ができる(管理業務)
- 在宅勤務ができ、ワークライフバランスよく働ける(管理業務)
×デメリット
- 薬剤師に戻りづらい
- 薬剤師として薬局等に転職した場合大幅に給料が下がる
- 薬の知識を忘れる
メリット1. 土日祝日休み
なんといっても、一番のメリットは土日祝休みであることだと思います。
薬局や病院勤務だと土曜日に出勤があったり、当直があったりで毎週連休とはいきません。
週末にしっかり仕事の疲れをとる→仕事に臨むリズムができるのでとても働きやすいです。
薬局で働く友人にもとてもうらやましがられるポイントの一つです。
メリット2. 有給が取得しやすい
品質管理や開発部は固定制なので、「この日人がいないから休めない…」といった悩みとは無縁です。
自分の仕事をきちんとこなせれば、有給はいつでも自由にとることができます。

有給が取りやすいので、1~3年目は有給全部使い切ったくらいです!
メリット3. 座って仕事ができる
管理系の仕事は基本的にデスクワークなので、座って仕事ができます。
5年次の実習では、ずっと立ちっぱなしで腰が痛くてたまらなかったので、座って仕事のできる環境は体への負担が少なくとてもありがたいです。
検査系や開発では実験をするので立ち仕事がメインになりますが、自分のデスクが与えられるので都度デスクワークを挟みながら仕事ができ、体への負荷は少ないです。

デスクワークは運動不足になりがちなので、運動する習慣をつけることをお勧めします。
私は1年目5㎏体重が増えてしまいました…。
メリット4. 在宅勤務ができ、ワークライフバランスよく働ける
管理系はPC1台あれば完結する仕事が多いので在宅勤務可能です。
検査や開発は残念ながら在宅勤務は難しいですが、実験をしなくて良い日は在宅勤務を選択することもできます。
コロナによって在宅勤務が普及しましたが、コロナが収束しても継続していくと考えられます。
通勤時間がないだけで、家族との時間が増えたり、趣味に使える時間が増えて人生が豊かになっていると感じます。
在宅勤務できることはメーカーの特権と言えますね。
メリットもあればデメリットもあります。

ここからはデメリットをお伝えします
デメリット1. 薬剤師に戻りづらい
結婚、出産、転勤などライフイベントによって転職する可能性もあります。
薬剤師資格を持っていればメーカーから薬剤師に戻るのは簡単だと思っていませんか?
恥ずかしながら私もそう思っていました。
私も結婚を機に通勤時間が長くなってしまったので、一時期転職活動をしていました。
その際に転職エージェントから言われたことが以下の2つです。
・今は有効求人倍率が低くなっている
・調剤経験がない人がよい条件の就職先に受かるのは難しい
実際に転職活動してみて、1社も受からないことはなかったので過度に心配する必要はないですが、現実は甘くないことは覚悟しておいてください。
デメリット2. 薬剤師として薬局等に転職した場合大幅に給料が下がる
転職活動をして薬局3社から内定をいただいたのですが、調剤未経験とのことで年収はガクンと下がりました。
具体的には100~150万ほど下がりました。
結構な金額ですよね…。この金額を聞いて私は転職をあきらめました。
薬剤師というとお給料がよいと思われがちですが、メーカーからの転職の場合かなりダウンする可能性もあるので注意が必要ですよ。

薬局薬剤師への転職話も今後書いていこうと思っているので、
ぜひ見てくださいね。
デメリット3. 薬の知識を忘れる
メーカーに勤めてしまうと薬の名称や成分名の知識は使いませんので、かなり忘れてしまいます。
せっかく勉強したのに…と残念な気持ちもありますが、薬学部で学んだことは薬の知識だけではないのでここは割り切って考えています。
今は添付文書検索アプリなんかもあるので、知りたいことは調べられますしね。
まとめ
薬剤師が働く場所は病院・薬局など医療関連だけではありません。
食品メーカーをはじめ、活躍できる場所は学生が思っているよりたくさんあります。
ぜひ、いろいろな業界に目を向けてより自分に適した業界にチャレンジしてくださいね!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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